靴を履くならこんなふうに②~歩き方講座~
介護施設にでも居ない限り、人間は毎日歩いているはずである。
しかし、この歩くという動作を意識している人は殆どいない。
本当にそれでよいのだろうか。
靴の履き方以前に、まずは歩き方から意識してみてはいかがだろうか。
まずは靴を観察しよう
いつもはいている靴をじっくりと観察してみよう。
- 汚れはないか?
- つま先は削れていないか?
- 靴ひもはしっかりと結ばれているか?
- サイズは適切か?
このような問題意識をもって毎日履いていただきたいところである。
しかし、最も大事な観察箇所が他にある。
それは靴底および中敷である。
なぜか?
それは足と地面の間を介している重要なパーツであるからだ。
ここを観察することであらゆる体の不調について考察することができるのである。
例えば靴底のつま先が削れ過ぎている人は足の指に力をかけすぎている。
左右で削れ方が異なる人は身体のバランスが悪い。
かかとの外が極端に削れている人はO脚であり膝に強い負荷をかけている。
これらを認識することから始めよう。
歩き方を変えたければ6箇条を意識せよ
次に行うべきことは正しい歩き方をマスターすることである。
脚の付け根をしっかり伸ばす
ここでいう腸腰筋を意識して歩くのである。
これによって歩く歩幅が伸び、股関節の可動域が広がる。
腸腰筋は名前の通り腸の動きと密接にかかわっている筋肉である。
つまり、歩くだけで便秘などの腸トラブルに対して有効な運動になるのである。
蹴るときにバレリーナのように足首を伸ばしながら歩く
脚の付け根を伸ばす動きに連動するが、足が地面を離れるときにつま先をピンとまっすぐにすることを意識してみよう。
これを意識することでより歩幅が大きくなり腸腰筋が鍛えられる。
蹴りだす時にやや内股を意識することで内転筋も鍛えることができる。
O脚のヒトは特に意識したいところである。
足の重心をかかとの中心から2~3㎝前におく
ヤンマーもそうだったが、踵をまるでスコップで掘るかのように接地してしまう癖があった。
これは踵の中心に対して重心を置いていたため起こる現象だ。
それが踵の極端なすり減りにつながっていた。
たくさん擦り減ってしまうということは、それだけブレーキをかけているということである。
無駄な動きであり、物理的にも非常にロスの大きい動きである。
そこで重心を踵から気持ち前(2~3㎝)に置くことによって歩き方は劇的にスムーズとなった。
バタバタと足音が鳴ることが無くなり、運動エネルギーが熱や音に変換されにくいスムーズな歩行が可能となった。
足の指に力を入れない
自然な動きというのは無駄のない洗練された動きであると言える。
ヒトによっては意図的に足に力を入れた歩き方を実践しているヒトもいるだろう。
それでは足に過剰な緊張を生んでしまう。
すると足は汗をかき、それが摩擦を引き起こし肉刺(マメ)が発生してしまう。
動かすべき筋肉さえ使えば足指は常にリラックスした状態を保てるはずだ。
接地するときに膝を曲げない
人間の体は走るための構造はしていないが歩き続けることは可能な構造をとっている。
だから終日走ることは辛い一方で、歩くことは可能となる(行脚など)。
陸上競技の競歩では二つのルールが課されている。
- 常に片足が地面に接している
- 接地して足が地面に垂直になるときに膝が曲がっていない
要はこれと逆の動きがランニングというわけだ。
ランニングは近年皇居ランをはじめ活況を呈しているが、あんな固い路面を大した知識もない市民が走っていては体を酷使してしまう。
ランニングは中毒性があるため好きなヒトにとってはなかなかやめられないのだろう。
しかし、実のところ膝に痛みを抱えながらマラソンをこなしている人(教授含む)が結構いる。
膝に負担をかけたくなければ膝を曲げて着地しないことを意識するようにしよう。
これらを意識することによって靴裏の削れ方は著しく変わる。
具体的に言えば、かかとのやや外側が削れ、極端に靴底がすり減ることがなくなる。
また、歩く速度が速くなり、見栄えも良くなる。
使われる筋肉が変わることでスタイルや運動能力、健康やメンタルなどあらゆる能力の向上につながるだろう。