ストロング飲料の跋扈が酒の価値を暴落させる
ストロングゼロを起点に近年著しく勢力を拡大しているストロング飲料。
ネットでは「異常に酔う」、「現代社会の福祉」などの目を疑うような文言が散見される。
人はなぜ酒を飲んでしまうのだろうか。
おいしいから?酔いたいから?
悩める現代人のみならず悩める酒類メーカーも酒を飲んでばかりいてどうする。
嘆く前にすべきことは無いのだろうか。
なぜヒトは酒を飲むと酔うのか?
そこらの広辞苑よりもよっぽど信憑性のあるウィキペディアを見てみよう。
「酒酔い」には、アルコールに含まれるエチルアルコールが脳の機能を抑制する事によって引き起こされる酒酔いと、体内でのアルコール代謝の中間生成物であるアセトアルデヒドの作用によって引き起こされる酒酔いとの二種類がある。
- 1. エチルアルコールの作用による酒酔い
- 飲酒によってエチルアルコールを摂取すると、摂取した量に応じ脳の麻痺(抑制)が起こり、酒酔いとなる。脳の麻痺はまず大脳の高位機能の麻痺から始まるため判断力、集中力、抑止力等が低下する。その結果、脳の低位機能(いわゆる本能的と呼ばれる機能)が表層化する事により、軽い興奮状態となり、気が大きくなったり、気分が良くなったりする酒酔い状態となる。
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2. アセトアルデヒドの作用による酒酔い体内でアルコールを分解する際に生成されるアセトアルデヒドは有毒物質である。これが血中に蓄積されると心拍数の増加、嘔吐、皮膚の紅潮などの状態が引き起こされ、酔った状態となる。このアセトアルデヒドによる酔いは、前者の酒酔いとは別の症状であり、アセトアルデヒド脱水素酵素の活性型により、この症状が表れる人間と表れない人間が存在する。また、アセトアルデヒドは二日酔いの原因物質である。
脳まで到達したエタノールと代謝物であるアセトアルデヒドのダブルパンチが効くのである。
その結果気持ちが良くなる(酩酊)一方で気持ちが悪くなる(嘔吐)笑。
というかエタノールは薬であり毒である。
どういうことかというと酒には作用(=反作用)があるのだ。
薬と毒との違いは人間にとってメリット(と思っている)があるかデメリットがあるかの違いでしかない。
世の中が善悪の二項対立ではないのと同じで、薬と毒は表裏一体なのである。
酒における付加価値
では、わざわざ薬であり毒である酒を人々は好き好んで飲んでいるのだろうか。
それは「おいしい」からではないだろうか?
酒はインフラではなく、金持ちの道楽、あくまで嗜好品なのではないかと思う。
要はお菓子と一緒なわけだ。
飲めなければ死ぬわけでもないし、飲んだからと言ってよいことは基本的にない。
ただ、低次欲求が満たされるに過ぎない。
だから高いワインだって売れるし、何でもかんでも酔えればよいというヒトだって比較的少なかったはずである。
しかし、ストロング飲料はその常識をぶち壊した。
若年層を中心に飲み会に行くわけでもないのに、常習的に飲酒を続ける層が増えてしまった。
もはや安いお金で酔えれば手段を問わないという、一見もっともらしい合理主義が垣間見える。
たしかに酒税が入っているにも拘らず、ソフトドリンクのような値段帯で販売されているのでジュースがてら飲んでしまうのも頷ける。
そのうち消毒用スプレーや試薬用エタノールを飲む輩が出てきてもおかしくなさそうだ(試薬用エタノールにはベンゼンが含まれているので絶対に飲まないように)。
酒は百薬の長なんて飲兵衛の詭弁だ
一見合理的なストロング神話。
しかし、酒を飲むこと自体が全く合理的ではない。
日常的に過剰なアルコールを摂取した先に待っているのは壊れたカラダである。
アルコールは薬物だから当然肝臓に負担がかかる。
肝臓は沈黙の臓器である。
気づいた時には手遅れとなるだろう。
しかし、日本の社会はまだまだ無理やり飲ませる文化が横行している。
大企業だからモラルがあるかというとまっったくそんなことはない。
酒を飲まないとやってられないほどストレスがたまってしまう職場なのだろう(苦笑)。
そんな戯れ言を一掃しているのが兼好法師こと吉田兼好である。
世の中、不可思議なことが多い。ことあるたびに何よりまず酒を勧め、強いて飲ませることを面白がるけれども、全く意味不明である。
飲まされる方の人が辛そうな顔つきで眉を顰め、人目を盗んで杯の酒を捨てようとしたり、飲まされまいと逃げようとするところを捕まえて引き留め、むやみやたらに飲ませたりすれば、立派な人であろうとあっという間に狂人のバカになる。元気な人もだんだん重病人みたいになって、前後不覚で倒れて寝てしまうのだ。それが当人の祝い事の日であれば、なおさらバカバカしいことだ。
つくづく人間は歴史を学ばない生き物であると痛感させられる。
このままだと酒=ガソリンになる
ヤンマーは飲ませ会もストロング信仰も否定派である。
必需品ではない以上、飲みたいヤツだけが勝手に飲めばよいと思う。
しかし、現実は無理やり酒を飲んでいる(飲まされている)人間があまりにも多い印象だ。
これは文化ではない、バカと言う名の病気だ。
「安ければ何でもいい」と言わんばかりにメタノールやガソリンを飲んでもおかしくない層が出てきそうだ。
そういう人は何故酒を飲んでいるのか今一度考えてみてほしい。
きっと酒を飲まなくても打開策はある。
いや、むしろ酒を飲んでいるから打開策が見えなくなる。
ニオイと一緒で酔いは現実逃避にしかならない。
酒は個性という名の付加価値があるからこそ 嗜好品となりうる。
アルコールさえ入っていれば何でもいいという価値観は酒の価格の暴落を引き起こし、ただのアルコール溶剤と化する。
というか既になりつつある。
こんなものを誰でも飲ませてよいのだろうか?
個人的には値段とパッケージ以外で勝負できる製品を打ち出していかないとマジで業界が衰退しかねない。
味の良さで勝負してほしいものだ(切実)。