うがい手洗いの前にやるべきことはないのだろうか?(イソジン、ヨウ素、ミューズ)
「おうちに帰ったら、うがい手洗いをしましょう」
ここぞとばかりにうがい薬や薬用ハンドソープを勧めてくるがどこまで洗えばよいのか。
うがい手洗いをしないとウイルス感染してしまうのだろうか?
免疫、洗浄の二つに場合分けしてみた。
うがい手洗いの目的とは
風邪やインフルエンザなどのウイルス感染の予防である。
ではどうして感染するかと言うと体の免疫機能が低下するからである。
もっというとウイルス感染率=免疫低下度×ウイルス曝露数といえよう(テキトーに作ったので定性的な指標に過ぎない)。
つまり、免疫が下がれば風邪をひくリスクが高まり、ウイルスにさらされれば同様のリスクが高まる。
だから、この二つを意識しながらうがい手洗いを考察してみよう。
免疫はいつ低下するのか
羅列してみた。
- 免疫の過剰防衛
- 睡眠不足
- 栄養不足
- 精神的ストレス
- 過度の運動
- 過度の潔癖
- 加齢
加齢はどうしようもないので、それ以外について考えてみる。
免疫の過剰防衛
異物がたくさん入ってくれば白血球をはじめとした免疫が両成敗により死滅するので当然免疫機能は低下する。
ではどういったときに異物が混入するかといえば、大部分が粘膜経由であろう。
具体的に言えば
- 口腔(口呼吸)
- 血液(擦り傷切り傷)
- 性器(接触)
あたりであろう。
ここではうがい手洗いにかかわる部位である、鼻と口に着目する。
鼻呼吸では繊毛、加湿による異物除去が行われるためのどに到達するまでに70%程度の異物は除去される。
一方で口呼吸をしてしまうとほぼ100%の異物がのど(扁桃腺)を通過することになり、さらに肺まで到達するため非常に苛烈な環境となる。
口呼吸、ダメ、ゼッタイ。
睡眠不足
睡眠については睡眠の質×睡眠時間がカギとなる。
睡眠の質を決めるのは眠りにつくまでの導入部分および最初の90分である。
簡単に良い眠りを達成するための流れを説明する。
- 寝たい時間の90分前までに深部体温を上昇させる(筋トレ、風呂など)
- 寝るまでの間に脳にとって刺激の強いことを避ける(テレビ、ゲーム、スマホ、頭を使うこと)
- 寝るときは手足を布団から出すことによって放熱を促す
- ここで眠れば成長ホルモンが放出されやすい「黄金の90分」を手に入れることができる
- 起きた後はすぐに日光を浴びることで概日リズムを整える
- 洗顔、シャワーなどで末端を冷やすことで眠気を除去可能
このサイクルを整えることで日々の生活の質および免疫機能は劇的に変わる。
さらに質を上げるために大事なこととして「鼾(いびき)」の改善が挙げられる。
まずはアプリなどを使って自分の鼾を観察してみよう。
そして、口が開いている状態ならばテープを使って口を閉じよう。
マウスピースも効果的だ。
肥満などで慢性的に無呼吸状態が続いていると脳に障害が出かねない。
CPAPも検討してみよう。
鼾がうるさい家族が居たら勧めよう、彼らのQOLが増えること間違いなし。
これでうるさい夜とおさらばだ笑
栄養不足
これはまずちゃんとした食生活を心がけよう。
そのうえで足りない栄養がある場合はサプリメントで適宜補っていこう。
水溶性ビタミンなので肝臓への負担は少ないが過剰な摂取は厳禁だ。
精神的ストレス
現代人が抱えるストレスはたいていヒト、カネ、時間に起因している。
原因がわかったヒトはさっさとストレスから逃げよう。
過度の運動
適度の運動は当然すべきであるが、死ぬほど頑張って運動することは避けるべきである。
スポーツの語源は「気晴らしである」
スポーツを生業としているヒト以外は控えましょう。
特に控えるべきスポーツは「マラソン」だ。
- グリコーゲンを使い果たす危険なスポーツ(ハマる人は脳内麻薬が出過ぎている)
- 限界まで心肺機能を使うため嫌でも口呼吸になる
- とても疲れるから当然免疫機能も低下する
- マラソンを終えたヒトはしばらくテストステロンの値が低くなるらしい(男性版更年期障害)
- 筋肉量は大して増えないから言うほど痩せない
過度の潔癖
常にクリーンな環境を求めすぎるということは免疫機能が使われず、免疫記憶がされにくいという点からしても好ましくない。
きれい好きすぎると却って脆弱な人間になってしまう。
自然にある草や土くらい触れる人間になりましょう。
嫌なら死ぬまでクリーンルームで生活すればいいんじゃないの?
洗浄(水洗い)
ここでは先ほどまで説明してきた免疫性能を保持していることを前提として考える。
正直免疫を高めればあらゆるウイルスを防ぐことができそうであるが、最近が大量に付着した状態で粘膜に触れることで感染リスクが増える可能性がある。
では、水洗いはどの程度効果があるのだろうか。
手洗い
下図のようなデータがある。
グラフは縦軸に注意してみないと意味を取り違えかねないので注意が必要だ。
食器を触って手に比べて、きちんと水洗いをした手では菌の数が30分の1にまで減少している。
さらに菌の繁殖具合を確認すると、水洗いした手と石鹸で洗った手における有意差は見られないと言える。
これは表面に付着した食器に付着していた菌は水洗い(物理洗浄)によりほとんど除去されているからだと考えられる。
石鹸で洗った手は物理洗浄に加えて化学洗浄の効果によってさらに菌の数は減少したと言える一方で、必要な菌までも皆殺のではないか。
よほどの毒性を持った病原菌を触りでもしない限り水洗いで充分なのではないだろうか。
水洗いでダメだった人は手の菌と免疫機能の低下のどちらが原因だったか振り返ってみるとよいかと。
うがい
名古屋市立大学の発表資料があるので紹介しよう。
http://nurs.med.nagoya-cu.ac.jp/kansen.dir/common/dl/date06.pdf
内容はうがいなし、水、モンダミン、イソジンによるうがいで菌の数に変化があるのかを検証したものである。
結果はうがいなし、水、モンダミンに関してはうがいをしてもしなくても菌の数に変化が見られなかった。
一方でイソジンに関しては沃素の殺菌作用により一時的に菌が減少した。
しかし、一時間後には再び菌が増殖していたということで、その場しのぎに過ぎなかった。
続いてうがいと風邪の関係を示したデータを紹介しよう。
なんとこちらではうがい薬を用いるよりも水だけでうがいをした方が良いという結果となった。
これでは何のために殺菌しているのか分からない。
やはりと言うか、過剰な殺菌は免疫機能を発揮する常在菌のバリアまで破壊してしまうことを意味しているのだろう。
ちなみにインフルエンザのような感染力が強い菌に関しては、うがいによる予防効果はほとんどないとのこと。
手洗いは効果があるとのことだが、うがいは効果がないみたいだね。
政府の見解としては
- 正しい手洗い
- 普段の体調管理
- 予防接種
- 湿度調整
- 人混みを避ける
というわけで免疫を高めて後は幸運を祈れ。
感想
うがい手洗いともに洗浄によって菌は減少するかと思っていたが、うがい自体の効果はほとんどなかった。
粘膜に付着している菌は物理的に除去できないしする必要もなかったということが分かった。
手洗いに関してはハンドソープを使う以前にしっかり水だけでこするように努めよう。
石鹸とアルコールで徹底的に洗浄してからハンドクリームを塗りたくっているヒトは何がしたいのか不思議だ。
執筆後に本屋をぶらついていたらこのような本が出版されていた笑
やはり同じようなことを考える人はいるものだなぁ。