人気企業ランキングとはなにか?その真相に迫る!(リクナビ、マイナビ、みん就、東洋経済、ワンキャリア)
就職活動を意識した人がまず最初に目にするものが、「人気企業ランキング」であろう。
就活のことで右往左往している者にとって、一見客観的なデータに思え、いい会社が見つかりそうだからである。
しかし、何も考えずに企業ランキングを見てよいのだろうか? 今回は知られざる、ランキングの実態に迫った。
人気企業ランキングにおける順位の決め手って何だろう
ランキングと一言で言っても、その形態は多岐にわたる。
その一例を見てみようか。
どうだろうか? 順位など簡単に変わってしまうことが分かったのではないだろうか。 見比べて考察してみるといいだろう。
人気企業ランキングに影響する要素はコレだ
- 格付け会社にお布施をしているか
- 年収の高さ(高いとは限らない)
- CMでよく見かけるかどうか
- 身近な商品を取り扱っているか
- ブラック企業と言われているかどうか
このあたりがキモとなってくる。
ちなみに得票数が要素に入ると宣う輩は、詭弁を弄しているに過ぎない。
なぜなら、票を入れる時点で企業が介入しているからである。
それでは要素を順にみてみよう。
格付け会社へのお布施=広告費
そもそも格付け会社は、企業からお金をいただいているのだ。
お金をもらって人気企業ランキングを吊り上げている悪質な場合は論外であるが、 そのようなことをしなくても、順位は上がるのである。
なぜか?
お金をいただいた格付け会社はどうするだろうか?
そう、サイトを通じて広告費を払った企業のPR活動をするに他ならない。
それは、エントリー数と内定者の質に直結してくるためである。
そのような会社が、読者から人気企業ランキングを集計でもしたら、結果は容易に想像できるであろう。(リクルート2ページ目参照)
年収のウソホント
平均年収を良く(場合によっては悪く)見せることが可能だということを知っているだろうか?
年収は、一般的に以下の合計により算出される。
額面(源泉徴収に記載される)年収
=月収×12+残業代+手当+ボーナス
しかし、これは一人の会社員の年収である。
どの会社員をベースに計算しているかは会社に拠る。
一般的に 会社員の年収は職種によって変わる。
(会社員=従業員+管理職+経営職)
新卒は従業員からのスタートとなる。
そして従業員は以下の3種類に大別される。
- 総合職(大卒、院卒など)
- 技能職(高卒、高専卒など)
- 一般職(短大卒、大卒など)
一般的に 技能職は総合職の80%、一般職は総合職の60%の給料と言われている。
そして会社によっては 総合職のみで計算している(四季報参照)。
ホールディングスと記載されている会社はほとんどが総合職であり、 しかも平均年齢が高い(年収ランキング参照) このように職種と年齢をソートできるため、ある程度平均年収は操作が可能である。
***平均年収の算出の仕方***
ここでは補足として年収の計算方法をお伝えする。
というのも会社によって計算方法はバラバラである。
四季報に関しては会社の自己申告のためそれを見て会社を選んでいるようではダメだ(旭硝子など)。
ウソ偽りなく年収を示している報告書がある。
有価証券報告書(通称ゆうほう)だ。
報告書内の「従業員の状況」において本社の従業員数と平均年齢および平均年収が記載されている。
有価証券報告書にウソを記入するのは犯罪である(粉飾決算)。
その一方で算出方法は各社の自由である。
どのような年収のからくりがあるのか、実際に見てみよう。
まずはTBSホールディングス
見ての通り平均年収は高い(1661万円)。
しかし従業員数は78人、平均年齢は52.6歳。
管理職など給料をたくさんもらっているおっさんが集まればそりゃ年収は高くなるだろう。
しかし諸君がその立場になれるとは限らない。
むしろ若手社員たちは年寄りばかりがたくさんお金をもらっていることに対して憤りを感じているのかも知れない。
ぜひOBOG訪問で聞いてみよう。
新日鐵住金
平均年収は600万円弱、数値だけで決めつける輩からしたら魅力はないだろう。
しかし、この会社は従業員数が多く、平均年齢が低い。
つまり、ホールディングス制の会社と比べて給与の低い人間も数多く含まれているということを忘れてはならない。
そして注釈3には「役職者を除く」と記載されている。
つまり課長以上の役職は年収に含まれていないのだ。
理由は妬まれないためである。
大口の顧客が多い会社(特にインフラ)では給料が高いと顰蹙を買い、事業に支障をきたしかねない。
そこで見た目の年収を下げているのだ(支払われている給料は同じでも)。
これで騙されるヒトもいるのかね?
そして最後は東京電力
こちらは2017年現在の状況、年収は820万円程度である(東京電力は四季報に載らなくなってしまったので貴重なデータである)。
原発でいろいろあった割には年収が高そうに見えるが果たして(なんで賞与を含んでいないのだろう?まさか・・・)。
一方原発事故前の2010年のデータを見ると今よりも年収が低い(757万円)。
これは年収が上がったということなのだろうか。
勿論そんなわけない(苦笑)。
従業員数は36328人から7743人になったというのはホールディングス制よる影響が大きい。
そして2010年度のデータでは「管理職の年収を含んでいない」となっているが、2017年度はその記載が消えていることが特色である。
つまり実際の年収は下がっているが(ボーナスカット)、あの手この手でパラメーターをいじくり回せば年収は上がるのである。
ヒマな就活生は四季報を読む前に有価証券報告書を読んでみてはどうか。
CMが果たす役割とは?
学生はCMで見たことのある企業を受けたがる。
なぜなら 他の会社のことを知らないからだ(笑)。
CMを放映しているということは それだけ金銭的に余裕があり、社会的信用度が高いと感じるのだろう。
だが、実際は順番が違う。
視聴者がそのように感じ、安心させるためにマーケティングを行っているだけに過ぎない。
消費財における人気企業ランキングの立ち位置
消費財(洗剤、お菓子、家電)を取り扱っている会社は総じて人気企業ランキング上位であることが多い。
これらもCMで散々取り上げられており、携わりたいという人が後を絶えない。
正直言って消費財業界においてはマーケティング職さえ能力を発揮できれば残りの人材はテキトーに採っても問題ない。
圧倒的集客力ゆえに、消費財の人事担当として働くと楽に人材を集めることができるだろう。
ブラック企業とは?
テレビで報道されているブラック企業は 確かに企業ランキングを落としている。(例:電通 1位→23位)
ところで諸君は、厚生労働省がブラック企業を名指しで指摘していることをご存じだろうか。
http://www.mhlw.go.jp/kinkyu/dl/170510-01.pdf
公表事案は名前の通り国がブラックリスト認定した企業である。
有名な会社で言うと、電通、パナソニック、森永乳業などがある。
さらに言うと、国が運営している職業斡旋所であるハローワークに掲載することができなくなる。
それでも民間就職サイトではお構いなく掲載されているのが現状である。
人気企業ランキング上位に名乗り続けるブラック企業たち。
人気企業ランキングにより学生は本当に求めている情報を手に入れることが可能なのか。
まとめ
自分に合った会社を選ぶためには 自分自身が大切にしている軸 を見つけなければならない。
そうしないと 不要な情報に踊らされて 肝心な情報に行き着く前に就活が終わってしまうからだ。
ではどうすれば軸を見つけることができるか?
自身の発言ではなく行動を観察すればよい。